相続放棄·限定承認

■相続財産について
遺産相続においては、故人が有していた権利・義務の一切につき、相続人が承継することとされています。そのため、相続財産の中には、相続人にとってプラスとなる財産だけでなく、マイナスとなる財産も含まれています。具体的には、プラスの財産としては、現金・預金や自動車、土地や建物といった不動産、株式などが挙げられます。マイナスの財産としては、借金や保証債務、ローンの返済義務といったものが挙げられます。
プラスの財産がほとんどを占める場合には、相続するかどうかについて問題になることは考えにくいですが、マイナス財産が多数を占める場合には、相続人にとって負担となるため、本当に相続をすべきなのか問題となるといえます。

●相続放棄と限定承認の違い
相続放棄や限定承認は、相続財産の中にマイナス財産が多い場合など、相続をするかどうかで悩まれる方のための制度です。
基本的に、相続方法には３つあり、それぞれ①単純承認②相続放棄③限定承認といいます。

①単純承認とは、相続財産の全てについて、そのまま相続人が承継する場合をいいます。特段の手続きをすることなく、何もしなければ通常は単純承認をしたものとして扱われることになります。

②相続放棄とは、相続人が有している相続をする権利につき、放棄することを言います。相続財産の中で、マイナス財産が多いことが明らかな場合には、相続放棄をすることになるでしょう。相続放棄をすれば、相続の効力はその相続人に対して及ぶことはなく、その後の相続手続きについても一切関与しなくてよいことになります。

③限定承認とは、故人の相続財産のうち、プラスの財産の範囲内で、マイナスの財産を相続することをいいます。相続を行う際には、プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多い状態なのか、正確に把握できない場合があります。また、相続放棄をしてしまうと、すべての財産について相続権を放棄しなくてはなりませんが、限定承認の場合には、どうしても引き継ぎたい財産があるときにも利用することができます。

●相続放棄・限定承認をする注意点
手続きをするうえで最も注意しなければならないのは、期限があるという点です。相続放棄も限定承認も、相続を知った時から3か月以内に家庭裁判所に申立てを行わないと、単純承認をしたということになってしまいます。また、相続放棄の場合には、相続人単独で申立てをすることができる一方で、限定承認の場合には、相続人全員で申立てをしなくてはなりません。全員の意見が一致しない場合には、限定承認ができませんので、注意が必要です。

●相続に関するご相談は当事務所まで
三ヶ尻法律事務所では、相続や離婚問題に注力をして、港区、目黒区、北区、世田谷区を中心に東京・埼玉の皆様から幅広くご相談を承っております。ご相談者のお話を丁寧にお伺いし、最適な解決策をご提案いたします。相続放棄や限定承認をすべきか、また、どのように手続きを進めればよいのか、お困りの際には、当事務所までどうぞお気軽にご相談ください。